ながれぼしのよる

もうすぐ あかちゃんが うまれます。

 ママは おおきなおなかが たいへんそう。

 かなちゃんは ちょっと ごきげんななめ。

 あかちゃんに ママが とられないか しんぱいなのです。

「よっこいしょ」

 ママが おおきなおなかを おもたそうにして げんかんで くつを はきました。

「さあ いこう」

「こんなに おそくに どこにいくの?」

 かなちゃんは ふしぎそうに ママを おいかけます。

 そとは もう よる。

 ママが かなちゃんのてを ひいてくれました。

「ねえ ママ。どこにいくの?」

「おさんぽ」

 ママは にっこりわらって そらを みあげました。

「あっ おつきさまだよ」

 かなちゃんがいうと

「ほら あかいほしよ」

 ママも みつけます。

 やがて ふたりは かわの ていぼうまで きました。

 かわのみずに マンションのあかりがゆれて

「きれいね」

「ねぇ かなちゃん。めを とじてごらん」

 かなちゃんは いわれるとおりにしました。

 ママが だまってるので かなちゃんは きゅうに こわくなって

「ママ!」

 めを あけると そこに ママがいます。

「びっくりしちゃった。ママが いなくなったのかと おもっちゃった」

「じゃあ こうすれば?」

 ママは かなちゃんのてを にぎります。

「うん。これなら だいじょうぶ」

 もう ずっと めを とじていても へいき。

 だって ママがいるって わかるから」

「うまれたばかりのあかちゃんって すこししか めが みえないのよ」

 かなちゃんは びっくり。

「じゃあ わたしも うまれたときには みえなかったの?」

「そう」

 みあげると たくさんのほしが かがやいています。

「でも ちゃんと みえるように なるよね」

「そうね」

「そうしたら あのほしも みえるんだね」

 そのとき ほしが ひとつ ながれました。

「ながれぼし!」

 ふたりは こえを そろえていうと うれしくて にこにこ。

「ママ かなちゃんが だいすきよ」

「あかちゃんが うまれても?」

「かなちゃんは おともだちができると ママのこと すきじゃなくなるの?」

 かなちゃんは すこし かんがえると

「ううん。ママが いちばんすき!」

「ママだって おんなじよ!」

 ながれぼしのよるは ふたりだけの わすれられない よるになりました。

 やがて かなちゃんに おとうとが できました。

「おんぎゃあ おんぎゃあ」

 かなちゃんは そーっと そのちいさな てを にぎります。

 こわれないように そーっとね。

「おねえちゃんは ここにいるよ」

 かなちゃんは おしえてあげます。

「だから こわくないからね」

 かなちゃんは あかちゃんのこと ママとおんなじくらい だいすきになりました。

☆この作品は、わたなべのりこさんと、娘さんへ贈った作品で、のちに、わたなべのりこさんがイラス

トをつけてくださり、手づくり絵本にしてくださったものです。

コメント: 4
  • #4

    しがみねくみこ (土曜日, 30 7月 2022 19:43)

    ありがとうございます。
    手づくり絵本展も、懐かしいですね!
    確か選考の先生は、ボローニャの絵本原画展にも携わっていらしたような記憶も。
    私ももう、パソコンの中には、見つけられなくて、まえのりさんの絵本のおかげで文字にすることができました。
    やっぱり、絵本のほうが心打たれます。
    素晴らしい絵本にしてくださって、感謝でいっぱいです。

  • #3

    まえのり (土曜日, 30 7月 2022 18:35)

    連続コメント失礼します!
    子猫さんのおかげで、この作品は神戸の手作り絵本展で、入選しています。
    ほんとに懐かしいですね。

  • #2

    まえのり(わたなべのりこ) (土曜日, 30 7月 2022 18:33)

    思い出す、あの時の事〜!

    子猫さん、ありがとうございます^^
    古いパソコンからデータ取り出すのに、ちょっと時間がかかりそう。
    イラストのバックアップとれたら、送りますね!
    ほんとに、ありがとうございました^^

  • #1

    しがみねくみこ (水曜日, 27 7月 2022 20:51)

    上に書いたとおりの作品です。
    お地蔵さんのページに、わたなべのりこさんがコメントをくださっています。(*^_^*)